「この15年間エルヴィンと演ってきて、ようやく”ジョン・コルトレーン”を音楽で表現できるようになった」
これは、エルヴィン・ジョーンズのジャズ・マシーンに15年間在籍したソニー・フォーチュンの言葉であり、このことから本作品の制作になったようです。
ジョン・ヒックス(p)、サンティ・ディブリアーノ(b)、そしてロニー・バラージ(d)との演奏が、基本になっています。そしてコルトレーン作の「オーレ」には、ラシッド・アリとレジー・ワークマンが加わっています。またフォーチュン作の「フォー・ジョン」にはバタ・ドラムスのスティーブ・ベリオとフリオ・コラッツォが加わっています。
演奏曲はフォーチュンさくが7曲、コルトレーン作が2曲収録されています。
私が持っている本作品はキングのパドルホイールから1999年に発売されたCDです。アメリカではShanachieから発売されており、ジャケットはイラストであります。
ソニー・フォーチュンの心地よさと闇の気分が妙に同居したサックス演奏と、コルトレーンへの敬愛が伝わってくる、聴き惚れる入魂の演奏となっています。それにはヒックスのピアノも十分に貢献しています。フォーチュン作の曲にはコルトレーンが演奏してきた数々のシーンを思い起こすものもあり、その意味でも楽しめる作品です。
さて本作品で取り上げたコルトレーンの2曲は、「オーレ」と「アフリカ」です。この2曲は1961年の5月から6月にかけてコルトレーン・バンドが行った、アトランティック最後のセッションと、インパルス!の最初のアルバム向けセッションで演奏されたものです。私の認識では日本での人気は低いと言えるのでしょう。しかしながらミュージシャンからは評価されているようで、私としては嬉しい限りです。