インパルス!のコルトレーンのアルバムの中で、本作が人気盤となっているのは、1963年7月のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで演奏された「マイ・フェイヴァリット・シングス」が収録されているからでしょう。
本作は二つのセッションで構成されています。
1963年7月7日のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルに出演したコルトレーン・カルテットは、諸般の事情でエルヴィンは参加できずにロイ・ヘインズがドラムスに座っていました。そこで演奏された3曲の中から、「マイ・フェイヴァリット・シングス」と「アイ・ウォント・トーク・アバウト・ユー」の2曲が、本作に収録されています。
もう一つのセッションは、1965年10月14日に西海岸のスタジオで行われたのものです。この時のコルトレーンは黄金カルテットから次の展開に入っていた時期であり、ここでは9人で演奏しています。この日に演奏された「クル・セ・ママ」は同名アルバムに収録されあ、1967年に発売されました。この日演奏のもう一つの曲「セルフレスネス」が、今日取り上げるアルバムに収録されました。
AS9161との規格番号で、1969年10月に本作は発売されました。
各曲については、「今日のコルトレーン」をご覧ください。
A面の存在感は言うに及ばず、B面の「アイ・ウォント・トーク・アバウト・ユー」も素晴らしいものです。こうなれば、1963年7月7日のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで三曲目に演奏された「インプレッションズ」もこの作品で聴きたいと思うのは、当然のことでしょう。LPレコードの収録時間の関係でそれは無理だったのでしょうけれど、本作の全てが1963年7月7日のものであれば、本作の評価は一層高いものになったと思います。
ただし1965年10月14日に西海岸のスタジオで収録された「セルフレスネス」も聴き所満載のものであり、これが1969年に世に出たことにも、本作の意義があったと思います。