ボブ・シールが歌手とのアルバム制作をコルトレーンに持ち掛け、それならとコルトレーンがジョニー・ハートマンの名前を挙げて、1963年3月7日に黄金カルテットにハートマンを加えてのセッションが実現しました。
各資料を見ますと、発売されたのは1963年7月(或いは8月)であります。そしてこの月にはインパルス!から、1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでの熱演から2曲を収録した、アルバム「インプレッションズ」が発売されています。またこの年にはプレスティッジから、「バレル&コルトレーン」「スターダスト」「ダーカー」が発売されています。この1963年を時代体験できたコルトレーン・ファンは、新譜であるこれらのアルバムに接して、戸惑っていたのではと想像します。
このアルバムは、インパルス!からのコルトレーン第六弾として、A(S)-40との規格番号で発売されました。
各曲については、「今日のコルトレーン」をお読みください。「一期一会の出会いから生まれた不朽の名盤」との表現が決して大袈裟でないことは、多くの方が感じることでしょう。ハートマンの温かくありながらキリッとしている歌声と、コルトレーンのテナー・サックスの優しさにより、「美しく味わい深い」作品となりました。
このセッションには多くの別テイクが存在していますが、今まで未発表のままです。巷の噂では、その一部がネット上に流れているらしいとのことですが、私は未確認のままです。いつの日にか、このセッションの全てを聴けることを願っています。
ハートマンの本名は、ジョン・モーリス・ハートマンです。二人のジョンが作った格別な世界が広がる作品です。
(国内盤CDの解説からの引用あり)