狂熱のヴィレッジ・ヴァンガードの演奏は、1962年から23年かけて、22テイク中19テイクが発売されました。5つのアルバム(内2つは2枚組)に収録されてのそれらの演奏は、1991年には演奏日別に収録した3つのアルバムでも発売されました。
1997年に今日取り上げるヴィレッジ・ヴァンガード全集 CD4枚組が発売されました。もしそれが1991年に発売された演奏日別の3つのアルバムを詰め込んだ箱物ならば、意味あるものとはいえなかったのでしょう。
この箱物CD4枚組は、コルトレーン愛好家の必須アイテムとなりました。それまで未発表の3テイクが収録されての、発売だったのです。
11月1日
India
11月3日
Naima
Miles' Mode
これがその3つのテイクです。
各曲について「今日のコルトレーン」をご参照ください。初登場となる3つの演奏も、他と比べて見劣りするものではありません。
24年前に発売されコルトレーン愛好家のみならずジャズ愛好家から賞賛を受けたこのCD4枚組は、今でも購入できるアイテムなので、その賞賛は今でも続いているのでしょう。
1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブから36年経って、我々はその全てを聴けるようになりました。そしてその演奏を聴く喜びは、今でも続いています。
「今日の1枚」で昨年から続けた、熱狂の1961年ヴィレッジ・ヴァンガードの収録アルバム紹介は、この第六弾の上記のコメントで終わるはずでした。
2021年10月22日発売のアルバム「A Love Supreme, Live In Seattle」国内版ブックレットの藤岡靖洋氏の解説に、次のコメントがあります。
1961年ヴァンガードでは、「マイ・フェイヴァリット・シングス」を演奏した証拠を我々は掴んでいます。録音もされたはずですが、ボブ・シールはアルバムには収録しませんでした。それは、アトランティックとの契約書に、5年以内は同じ曲を録音販売してはいけないと言う条項があったからです。
後半の契約の話は有名なものですが、前半の「マイ・フェイヴァリット・シングス」演奏とのコメントは衝撃的でした。
1961年ヴィレッジ・ヴァンガードの全網を、演奏から36年経って全て聴けるようになったと信じていたことが、これで崩れました。全てを聴けるようになるのは、いつのことでしょうか。関係者のご尽力が実ることを、ただただ願っております。