奇跡のヴィレッジ・ヴァンガード、番外編 その2です。
録音二日目には7曲が演奏されており、1985年までにその7曲全てが発売されていますので、このアルバムはこの11月2日コンプリート盤となります。
この日の特徴としては、7曲中実質3曲でドルフィーが参加していないことでしょう。前日の11月1日には全曲にドルフィーが参加していましたので、これは大きな違いと言えます。
二つ目の特徴は、録音四日間の中でスタンダードの唯一の演奏となった「Softly As In A Morning Sunrise」があります。これと「Greensleeves」の演奏があることで、7曲の流れの中に上手く変化をつけています。
三つ目の特徴としては、ヴィレッジ・ヴァンガード初収録アルバムである1962年発売の「Live At The Village Vanguard」収録曲3曲の中の2曲(Softly As In A Morning Sunrise, Chasin' The Trane)が、この11月2日に演奏されていることでしょう。
四つ目の特徴としては、この日の最初の演奏曲(Chasin' Another Trane)では、ロイ・ヘインズがドラムスとなっていることです。録音四日間でエルヴィンがドラムスでなかったのは、これだけです。
最後の特徴としては、「Chasin' The Trane」が実質的にトリオで演奏されていることです。ドルフィーが最後の最後でアルト・サックスを一吹きしているのでクレジットとしてはカルテットとなりますが、事実上はこの録音四日間の中で唯一のトリオ演奏(コルトレーン、ギャリソン、エルヴィン)となっています。
なおこれは2枚組CDとして発売されています。そこへの収録曲順ですが、実際の演奏順と異なっています。実際の演奏順に並べて収録しても収録時間の問題はなかっただけに、この点は残念なことです。
この日の演奏の雰囲気を表現するなら、深みある演奏と言えるのかなと感じます。初日の「荒々しさ」に対して、二日目の「深み」、この聴き比べも楽しめるものです。
さて国内版CDにある岩浪洋三氏の解説を紹介します。
「ヴィレッジ・ヴァンガードの店内には、これまで出演してきた数々のジャズメンの写真が貼られているが、中でも一際大きく目立つのがジョン・コルトレーンの写真である。コルトレーンはここで数々の熱演をくりひろげてきたからだ」
この文章からも、この1961年11月のコルトレーン・グループの演奏の凄まじさが伝わってきます。