トランペット奏者のジミー・オーエンスについて、新・世界ジャズ人名辞典から紹介します。
1943年にNYで生まれた彼は10歳でトランペットを始め、音楽芸術高校に進みました。作曲をヘンリー・ブライアントに、トランペットをドナルド・バードに学び、1963年から1964年にライオネル・ハンプトン楽団に入り、その後もミンガスやハービー・マンのグループで活動を重ね、1966年にはマンのグループ員として来日しました。その後もエリントンやマリガンなどの大物のもとで活動していました。1968年にはガレスピー・リユニオン・バンドの一員として渡米し、しばらく欧州で活動していました。
まだ存命のオーエンスのその後の活動ですがWikipediaによれば、2000年代前半までには数多くの活動が掲載されています。
本作品の共同リーダーであるジミー・オーエンスとケニー・バロンは同じ1943年生まれで、本作品録音時点では23歳でした。この時点では一般的には、ケニー・バロンの方が名が通っていたのでしょう。テナー・サックス奏者も参加してのクインテットでの演奏の本作品を、私はSNSでの紹介で知りました。
爽やかにハード・バップ、そしてロック・ビートを心地よく取り入れての演奏です。ジミー・オーエンス作のタイトル曲、そしてケニー・バロン作の「Gichi」に、そんな魅力が詰まっています。
まだまだ個性の発揮には至っていないオーエンスとバロンですが、ジャズの楽しみを存分に発揮する演奏は、多くの大物から声がかかるだけのものです。
そして更なる本作の魅力は、テナー・サックスと一部でフルートを吹いているベニー・モーピンの参加でしょう。マイルスの「ビッチェズ・ブリュー」への参加や、1970年代のヘッド・ハンターズの演奏で知られるようになる彼ですが、この作品では溌剌とした演奏を披露していきます。
若手の元気な演奏が詰まっている本作品、気持ちの良いものです。