続けてオマー・アヴィタルの作品を取り上げます。Yonathan Avishai(p), Asaf Yuria(ts, ss), Alexander Levin(ts), Ofri Nehemya(d) とのメンバーで、彼のバンドの基本となるクインテット編成での演奏です。しかしながらそれまでの盟友であるトランペット奏者のアヴィシャイ・コーエン、そしてテナーのジョエル・フラームではなく、録音時点では新進ミュージシャンであった二人のサックス奏者をメンバーに迎えています。
さてアルバム名にある「Abutbul」が何を意味するのかですが、ネット上で検索しても、そしてGoogle翻訳にかけても答えはありませんでした。しかしながら人名として三名がWikipediaにありました。三人ともにイスラエル人であり、1965年生まれの俳優でアナウンサーで映画プロデューサーでもあるアラン・アブトゥブール、1975年生まれのイスラエル・マフィアのボスであるアジ・アブトゥブール、そして1983年生まれのサッカー選手であるシェイ・アブトゥブールであります。
CDのどこにも三人の中の誰のことなのかを読み解くヒントはありませんでした。
ピアノはアヴィタルの盟友と言えるヨナタン・アヴィシャイが演奏している本作を、今日は聴いてみます。
それまでのクインテットに演奏が土の上を力強く歩く姿だとすれば、ここではアスファルトを快適に歩く姿のようです。土の匂いの村と、アスファルトで覆われている洗練された街の違いがあります。サックスの二人のアンサンブルを巧みに使い、バンドのカラーを作り上げたアヴィタイは流石です。
しかしアスファルトには危険な似合いもついてくるもの。洒落たサウンドの中に街の危険さも感じさせる演奏の瞬間に心を奪われながら、本作を聴き終えました。
なおアルバム名にある「Abutbul」がWikipediaにある三名の誰なのかは、皆目見当がつきませんでした。