ベース奏者のアヴィシャイ・コーエンの2013年作品ですが、ディスクユニオンの本作紹介ページに、「クラシックの作曲法、そしてハーモニーを取り入れ、ジャズとクラシックの見事な融合を見せている」とあります。確かに演奏メンバーをみますと、ヴァイオリン三本にチェロ一本が参加しています。
Nitai Hershkovits(p), Ofri Nehemya(d), Cordelia Hagmann(Violin), Amit Landau(Violin), Noam Haimovitz Weinschel(Violin), Yael Shapira(cello), そして Yoram Lachish(oboe & English Horn)が、そのメンバーです。
ジャケットはこれまでのアヴィシャイの作品とは雰囲気が違うものであり、クラシックぽさがあります。
弦楽器による重なり、そこにリズム陣が加わり少しの躍動となり、徐々にイスラエル音楽の色が加わっていく、そんな風に曲が続いていきます。
この感じで終わるのかと思っていました。Wikipediaでのアヴィシャイのページには、彼がクラシックに親しんだような記述はありませんが、彼の接してきた音楽の姿をこの作品に表したかったのでしょう。
こんな文で書き終えようと思っていましたら、最後の「Kumi Venetse Hasadeh」という曲で印象が変わりました。この曲では彼のヴォーカルが主となっていますが、この歌は、誰もが分かっているが認めたくもない人の哀しさと弱さがテーマなのかと、感じました。私は深くこの曲に感じ入りました。
この最後の歌を印象付けるために、それまでの9曲が存在したのかと思い、壮大な序曲と乾いた重い歌を聴き終えました。