短くなったタバコを指に挟んで、と思ったら、ジャケに写るアヴィタルの指輪でした。日常生活に不便はないのかなと余計なことを思いながら本作のクレジットを見ると、Avishai Cohen(tp), Joel Frahm(ts,ss), Jason Linder(p), そして Ferenc Nemeth(d) とアヴィタルは演奏しているとのことです。
「Recorded Live in Marostica, Italy」とクレジットされてますが、ライヴ会場は書かれていません。裏ジャケやブックレットにも、ライブの写真は無しです。
カタカナ表記ですとマロースティカというイタリアの街は、ヴェネツィアから北西の山岳方向に30kmほどのごく小さな街です。ウィキペディアによれば「人間チェス」が有名とありますが、言い換えればそれしか特筆することがない街かもしれません。Googleマップに表示されるお店を見ますと、レストランが2軒、コーヒー店が1つ、そしてスーパーマーケットが一つ、こんな街です。
そんな街でライブ盤を聴いてみます。
ベースとピアノに続きアヴィシャイ・コーエンが切なさ溢れるテーマが響けば、アヴィタル・ワールドが始まります。一曲目の「Simcha」から他にはない自分の世界を気づけるアヴィタル、さすがは人気者です。
四曲目にあるタイトル曲では、壮大な旅でを感じさせる、ベースが効果的なテーマで始まった後に、サックスに自由に吹かせ、山あり谷ありの旅路を表現しています。そして再び壮大さを持って演奏が終わっていきます。
他の六曲もそれぞれの景色を表現しており、素敵なライブであったことがわかります。拍手からすれば100名ほどの会場ですが、全員が満足したことでしょう。
さてマロースティカは、山形県天童市と姉妹都市になっているとのことです。なんでも天童市は人間将棋で有名とのことで、人間チェスのマロースティカとは民間交流を続けていたとのことです。
その天童市ですが、ライブハウスがあるようです。マロースティカにも素敵なライブハウスがあることは、このアヴィタルのライブ盤が証明しました。