Recorded live at the Yellow Submarine, Jerusalem とのクレジットがあります。エルサレムにあるイエロー・サブマリンとのライブハウスですが、このお店のホームページを見ると300人ほどを収容できそうなところです。Googleマップによれば場所はエルサレムの中心の、メインストリートから一本奥に入った通りにあります。
ベース奏者のオマー・アヴィタルと、ドラム奏者のマーロン・ブラウデンによる、イエロー・サブマリンでのライブ作品を、今日は取り上げます。トランペットにアヴィシャイ・コーエン、そしてオムリ・モーがローズを演奏しています。
さて主役の一人であるマーロン・ブラウデンとは何者だ、となりますのでネットで調べたところ、2000年にリーダー作を発表しているとの情報を得ました。ピアノ・トリオ・スタイルの作品です。彼に関する情報は、これしかネット上で得られませんでした。ディスクユニオンでの本盤紹介ページでも、マーロン・ブラウデンには触れておりません。
地元では知られた存在だと思うマーロン・ブラウデンと、この時期には名が売れ始めたオマー・アヴィタルの作品を、今日は楽しみます。
オマー・アヴィタルがリズムの方向性を決め、マーロン・ブラウデンが味付け良くドラムで決めて、アヴィシャイのペットが生と電気処理で駆け回り、オムリ・モーのローズも不思議な気持ちになる泳ぎを繰り出す、そんな熱気の演奏です。ファンクを基本に、多彩な方向性をみせています。
まずこのユイニットのこの方向性を示している1曲目のマーロン作「Marlonious」での盛り上がり、そしてアヴィタルの名曲「Third World Love Story」での心の叫び、この流れに圧倒されます。
マーロンがファンクに持っていき、アヴィタルがメロディアウスな方向に舵を変え、そんな繰り返しの中で、このユニット独自の世界を築くというのが、この「プロジェクト」の狙いなのかと感じました。この2003年以降のマーロンとアヴィタルの関係がどうなったのかは、調べても情報がありませんでした。
このライブは20年近く前のことなので、新たな動きは期待できないでしょう。聴き手の一人としての思いですが、アヴィタルとマーロン、そしてローズを弾くオムリ・モーの三人をベースにして、セッションごとにホーンを一人加えるという流れができていれば、興味深い展開になったはずです。このライブでのアヴィシャイが、この三人をベースに暴れんまくった演奏で、彼の個性を発揮し、さらにこのユニットの魅力を輝かせています。これが他のホーンだったらどうなるのか、私の妄想が続きます。
そんな妄想の一つをいえば、アナット・コーエンを入れて欲しい。水と油、そう感じる方が多いでしょう。しかしながらアナットのいろんなフォーマットの中で輝く可能性を考えると、私には素敵な展開が望めたと思います。
そんな妄想を感じさせるこのライブ盤、重みのあるものです。