2020年6月2日掲載
John Coltrane      Soultrane
Prestige原盤               1958年2月録音

 「コルトレーンの自信に満ちた姿が見出せるプレスティッジ時代の最高傑作!」、「プレスティッジ・レーベルに残された数多くのジョン・コルトレーンのアルバムの中でも、疑いもなく最高の出来栄えを示した一作」と、大絶賛紹介文で今でも宣伝されている作品です。

 本作品が収録された1958年2月7日のセッションは、コルトレーンがプレスティッジで行った21回目のセッションであり、コルトレーンのリーダー・セッションとしては初のワン・ホーン・カルテットでのものです。その前の20回のセッションを眺めてみますと、コルトレーンが2年半の間にこのプレスティッジだけでも、多種多様な経験を積んできたことが分かります。

 そして待ちに待った初めてのワン・ホーン・カルテットでのリーダーセッションは、これまたプレスティッジで多くの活動を共にしてきたガーランド、チェンバース、そしてテイラーとの演奏です。このメンバーで5曲が演奏され、その全てがこの「ソウルトレーン」に収録されています。

20200602

 コルトレーンのプレスティッジを録音順に「今日のコルトレーン」で取り上げ、そこからのアルバムを「今日の1枚」でコメントしてきたから思うことなのでしょうけど、この作品はコルトレーンがガーランドと成長してきた流れの総決算のように感じました。演奏機会を得ることでのコルトレーンの技術面での急成長に、ガーランドが歌心の大切さをそれとなく伝えてきたことの熟成を、改めてこの作品を通して聴いてみて、強く思った次第です。

 この後もこの年の末まで四ヶ月ほど二人の共演は続きますし、その中にはカルテットでの演奏もあります。そこを考えても、常にコルトレーンを全面に出すガーランドがいる本作品、そしてセッションが丸ごと収まっている本作品は、コルトレーンとガーランドの蜜月時代の良い記録と言えるでしょう。

 曲それぞれについては、別掲の「今日のコルトレーン」をご参照願いいます。