2020年5月2日掲載
Red Garland            Dig It !
Prestige原盤            1957年12月録音

 典型的な寄せ集め盤である本作は、1962年に発売されました。

 1957年12月13日のガーランドのセッション、コルトレーンとバード入りの演奏で「Billie's Bounce」と「Lazy Mae」の2曲、そして1958年2月7日のコルトレーンの「ソウルトレーン」セッションの前に行われたガーランド・トリオから「Crazy Rhythm」が収録されています。

 ここまでならばプレスティッジでは当たり前のことなのですが、何と1957年3月22日の「C.T.A.」を収録していることです。この曲の収録の経緯は「今日のコルトレーン」を参照して頂くとして、この演奏はアート・テイラーのリーダー作に収録されて、1957年に発売されていたのです。

 勘弁してよとの1枚となる本作品ですが、それなりに人気のある作品でもあります。

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 コルトレーンが参加していない、ガーランドトリオでの「Crazy Rhythm」ですが、この曲の持つアップ・テンポの楽しさをストレートに発揮している演奏です。さすがは人気者ガーランド と感じ入る演奏なのですが、この曲も1970年に入ってからの発売となったガーランドのリーダー作「It's A Blue World」にも収録されている演奏です。この意味ではやはりプレスティッジということなのでしょう。

 楽しく体を蚊kるくゆすりながらのA面に対して、B面では「C.T.A.」に続いて「Lazy Mae」が演奏されています。16分のこの演奏、「今日のコルトレーン」では「流石はこのメンバーですので、存在感あるウダウダ演奏」と書いたのですが、サラッとも聴けるし、考えを込めて聴き入ることもできる、存在感のある演奏になっています。

 ジャズ喫茶黄金時代、そこには当時の文化もあるのでしょうけど、高価な輸入盤と大音量が許されない当時の住宅環境も、ジャズ喫茶人気の理由だったと思います。そこでマスターがこの作品をターンテーブルに乗せる時に、こっちの方が良いよと呟きながら、A面主義を横に置いといてB面に針を置いていたのではと、私は勝手に想像してしまいます。この「Lazy Mae」が持つジャズの魅力に酔った方々が多かったのではと思いながら、「Lazy Mae」の16分間を楽しんで本作を聴き終えました。