このジャケを見れば、コーエン三兄妹の中でアナットさんが真ん中というのが分かります。
先に三兄妹の2006年作品を取り上げましたが、今回は2011年にブルックリンで吹き込まれた作品を聴いてみます。
メンバーですが、ピアノにアーロン・ゴールドバーグは2006年と同様ですが、ベースはMatt Penman、ドラムはGregory Hutchinsonとなっています。そして二曲に歌手のジョン・ヘンドリックスが参加しています。コーエン三兄妹は2010年にブラジルでジョン・ヘンドリックスに出会い、それがこの作品での共演につながったとのことです。
ユヴァルとアヴィシャイ作の曲にエリントンのナンバーなどが並んでいる作品です。
1930年代、1940年代のアメリカのジャズの様子を、彼らの見事なアレンジで表現している姿が素敵でした。またその後のジャズの姿も散りばめられており、この三兄弟がテルアビブでジャズを勉強していた幼少期に、演奏技術だけではなく、ジャズの歴史も学んでいたことが分かる内容でした。またこのことが三人のプロ活動の土台になっていたことでしょう。ジョン・ヘンドリックスの歌が聴ける二曲も、楽しめるものです。
そんな中で、アビシャイ作のタイトル曲がモノ悲しく響いていました。おそらくはイスラエルの常に揺れ動いている中のことを、表現しているのでしょう。「家族」とはもちろんコーエン一家であり、またユダヤ人の辛い歴史も込めた曲名かと思いました。
ただしこのタイトル曲が決してアルバムの中で浮くことがないのは、流石の作品作りだと感心しながら聴き終えました。