マルとレイシーの共演作は1958年から20枚ほどあり、二人のデュオ作品は1981年から10枚ほどあるようです。私がジャズを聴き始めた時は二人のデュオ活動が始まった時と重なるのですが、渋谷のジャズ盤専門店の新譜コーナーには毎月そんな作品が飾ってあったような記憶があります。もちろん毎月新譜発売などは無かったのでしょうが、本当に多かった記憶です。この二人のデュオについての私の思い出話は、かつてこの「今日の1枚」で書きましたので、今日は違うお話を。
「こういう作品は良い悪いで買うのではない。仮にコケた演奏ならばどういうコケ方なのか、そこを楽しみにして買うのだ」マルとレイシーの新譜を前にして、ジャズ盤専門店で交わされた会話の一コマです。この気持ちが理解できるまで私は10年以上かかりました。
本作品はミラノでのスタジオ録音で、エリントン楽団曲集です。
レイシーの乾いたソプラノと、ほどほどの湿り気のマルのピアノが、綺麗に響き合っています。エリントン楽団の曲の持ち味を活かすという枠組みのなかで、上手い具合に二人の個性が繋がってます。
アルバム・タイトルの曲はイタリア語で「いつも愛する」との意味ですが、エリントン愛好家の方々にとっては有名曲魔のでしょうが、私には縁が薄い曲です。太陽の反射が似合う湖畔での優しい時間帯のような気配を、二人は表現しています。二人は常にエリントンを愛しているのだろうなと思いながら、聴き終えました。