筋肉質とは無縁の私にとって、自分の体を見せたがる男の気持ちは、理解できるようで分からないものです。痩せるためにスポーツジムに通っていた時に嫌でも目に入った、更衣室の鏡の前で自分の上半身にうっとりしている人達の光景は、今でも避けたいものです。
サックス奏者のジュリアス・ヘンフィルは、この「今日の1枚は」ではWSQやマレイ絡みでおなじみの方です。しかし単独名義の作品となると、今日取り上げる作品が初めてとなります。チェロを弾くAbdul Wadud、パーカッションのDon Moyeとのトリオでの演奏です。
この作品が発売された1970年代後半のロフト・シーンを時代体験できた方々は、羨ましい限りです。私はこの時代の新譜を追いかけたかったです。
これは、ロフト・シーンの中にいて存在感を発揮しているジュリアス・ヘンフィルの、音楽への自信と信念が伝わってくる作品です。ジャズ全般を理解し、1960年代のアヴァンギャルドな展開を受け継ぎ、時代も見据えて、音楽に取り組んでいる演奏は素敵なものです。奏者全員での音楽連携の密度が、素敵なものです。ジャケの姿はそんな新年の姿なのでしょう。
最後の曲、「G Song」を聴いていると、1980年代をしっかりと見つめている演奏がそこにあります。