2018年8月9日掲載
The Awakening           Hear, Sense And Feel
Black Jazz原盤             1972年録音

 ブラック・ジャズ・レーベルの最初の7枚には、録音スタジオや録音エンジニアについてクレジットされていませんでした。最後まで録音エンジニアはクレジットされないのですが、録音スタジオについては、昨日取り上げたダグ・カーンの作品からクレジットされています。ダグのはNYでの録音、今日のジ・アウェイクニングはシカゴでの録音です。その後の作品を見てみると、NYあり、LAありとなっており、レーベルとしては録音場所のこだわりはなかったようです。

 BJQD/9として発売された第9弾は、ジ・アウェイクニングの作品です。例の小冊子から本作を紹介します。

 ジ・アウェイクニングはヤング=ホルト・アンリミテッドのピアニストだったケン・チェイニーとシカゴ前衛ジャズ集団AACMに属するフランク・ゴードンの2人を中心に1970年代初期のシカゴで結成されたセクステット。他にも同じくAACM所属のサックス奏者、アリ・ブラウンなど、シカゴを拠点にして活動する辣腕ミュージシャンたちが参加、「俺達の本当にやりたいジャズ」に覚醒した彼らが選んだレーベルはブラック・ジャズだった。モード・ジャズに新主流派的な感覚やファンク/ソウル的なエッセンスを織り込んだサウンドは深いスピリチュアリティとブラックネスを備えている。

 シカゴのイキのいい若手が集まっての演奏、どんなものなのでしょうか。

20180809

 サッパリとした空気感が魅力のグループです。ドロドロになっていくような曲が並んでいますが、それらを清涼感ある演奏で楽しませてくれます。アリ・ブラウン作の「When Will It Ever End」での静けさの中での叫びが、本作品の白眉と感じました。この曲こそドロドロしそうなものなのですが、このグループ独特の味わいで演奏しています。

 どうやらこの作品だけで終わったグループのようですが、この時代の良い演奏をブラック・ジャズは残してくれました。