スティーブ・キューンというピアニストと言えば、耽美派という言葉がよく使われますが、激しさがあるピアニストとの印象もあります。ヴィーナスへの2作目の本作品、バスター・ウィアリアムス(b)とビル・スチュワート(d)という、当時の売れっ子ミュージシャンとの録音です。
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1曲めの「危険な関係のブルース」は、激しく飛ばしまくるキューンの演奏です。全体的にこの強いタッチが、好盤作りに結びついています。そこに怨念のキューンの姿が加わったのが、キューン作の「サハラン」です。自分の世界をしっかりと持ったキューンさんの演奏は、この作品で素敵な曲を見事に料理しています。