2017年5月4日掲載
John Surman & John Warren
Tales Of The Algonquin
Derman原盤          1971年録音

 国内盤封入解説で瀧口氏が触れておりますが、タイトルにあるアルゴンキン族とは、北アメリカの先住民のことであります。これをアルバム・タイトル「アルゴンキン族のお話」とした本作品には、同名の組曲が収録されており、それが本作品の目玉になっております。演奏はジョン・サーマンを含め15名の大所帯であり、英国ジャズ界を代表する錚々たる名前が連なっております。

 その中にあってサーマンと共にコ・リーダーにクレジットされているのが、ジョン・ウォーレンです。ウォーレンはサーマンより6歳年上になり、カナダの音楽大学で学んだ後に英国でビッグバンドを通して活動しておりました。楽器はサーマンと同じバリトン・サックスであります。本作ではウォーレンはバリトン・サックスと共にフルートを演奏しています。

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 楽器の音色の艶っぽさ、動と静の融合による切れ味、そしてそこから生まれるドラマ性に聴き入る作品であり、ビッグバンド・ジャズの一つの到達点と言える内容です。サーマンのソプラノ・サックスとジョン・タイラーのピアノの輝きには、圧倒されました。

 タイトル曲の「アルゴンキン族のお話」は物語が詰まっているように感じる演奏ですが、北アメリカにおける先住民と開拓者のことは映画でたまに目にするだけの私には、深い意味を感じ取ることが出来ませんでした。これは私の知識不足ということで、あしからず。