ジョー・ニューマンとジョー・ワイルダーという二人のトランペット奏者の、コ・リーダー作品を今日は取上げます。
二人は共に1922年生まれ、そしてライオネル・ハンプトンやカウント・ベイシーの楽団で、共に活動していたことがあり、仲の良いことなのでしょう。それはジャケの笑顔に現れておりますね。
60歳を過ぎてからのこの共演盤には、これまたベテランのハンク・ジョーンズが加わっております。ベースにはルーファス・リード,そしてドラムにはマーヴィン・スミッティ・スミスが参加しております。
ベテラン・ミュージュシャンに吹き込みの機会を与えた作品は多くありますが、それらはジャズ愛好家がジャズ専門店の新譜コーナーに並んだ時に目にした手に取るか、それらが中古市場に流れた際に目にするかの二つしかないでしょう。勿論、話題になった作品は別ですが、殆どの作品は新譜の時に日本に入ってきた400枚ほどが、ジャズ愛好家のもとにいくことになります。
言い換えれば、その作品は400人しか知らないものとなります。中古での流通を考えても500人と言ったところでしょう。世の中には私の知らない、そんなベテランの作品が多いことなのでしょう。
今回取上げたジョーご両人のこの作品はたまたま私の知る作品となったわけですが、ご両人が長年のキャリアを力むことなくぶつけた、素敵な作品です。軽快な演奏が続く中でも、ご両人の人生経験が披露されているようで、深みも随所に聴ける内容です。
「Battle Hymn Of The Republic」というアメリカの古い曲は、もともとは南北戦争の時の北軍の行進曲でした。その後は様々な替え歌となり、歌い続けられたきた曲です。日本でもいくつかの替え歌が存在し、「お玉じゃくしは蛙の子」が有名なものなのでしょう。
ご両人は年齢からして、第二次世界大戦時代に青春時代を送られた方々。本作品を吹き込むにあたって、昔話に花が咲き、この曲を収録したのではと、私は想像しました。ベテランが子供の頃を懐かしみ、その気持ちだけで演奏したこの曲を聴くと、誰もがいろんな思いが頭をよぎることでしょう。