テナー・サックス奏者のGianni Bassoに関しては、この「今日の1枚」でお馴染みのお方です。このバッソとコ・リーダーを組んでいるのは、トランペット奏者のOscar Valdanbriniであります。
バッソと同じくイタリア・ジャズ界の重鎮であるヴァルダンブリーニに関しては、「今日の1枚」でピアナとのコ・リーダー作を2009年5月2日に紹介しました。
そこでも書いたのですが、ヴァルダンブリーニと言えば、やはりバッソと組んでの活動が有名であります。1954年に二人は出会い、意気投合して活動し、1955年に双頭バンドを結成しました。その後はイタリアはもとより、欧州各地で活動し、高い評価を得た時期に吹き込まれたのが、本作品であります。
Renata Sellani(p),Giorgio Azzolini(b),そしてLionello Bionda(d)とのクィンテットでの演奏です。
「1960年代初頭までの欧州ジャズは、アメリカでのジャズを手本にして、それを高度に吸収しようと取り組んでいた段階であり、その活動がやがて1960年代前半からの欧州ジャズの独自色での発展に繋がっていった」というようなコメントは、多くの書物等で目にするものであり、私程度の欧州ジャズ聴きでもそれが理解できるものです。
そして本盤での演奏も、お手本アメリカの西部や東部のジャズを真剣に追っかけている若者達の熱演が聴こえます。それらは「誰々風の演奏」との書き方で終わらせることもできるのですが、本盤を聴いていると、彼らの個性がそれなりに認識できるものになっています。
私はこの「今日の1枚」で、「欧州ジャズの魅力を一口で言えば楽器のテクニックの素晴らしさと、ピーンと張りつめた緊張感ではないだろうか」との言葉を、何度か引用してきました。「ヨーロッパのジャズ・ディスク1800」の中の、山口啓司さんの記述であります。
この意味するところを、この作品に感じ取れました。