2017年3月7日掲載
Booker Ervin            Heavy!!!
Prestige原盤             1966年9月録音

 ミンガス・バンドでのテナー・サックス奏者として名前が知れ渡っていたブッカー・アービンが、プレスティッジと契約しリーダー作を発表したのは、彼が30歳の1960年のことでした。それから8年の間に20枚近くの作品を発表しましたが、今日取り上げる作品はその終盤の方のもの。

 バイアード,デイビス,アラン・ドウソンという、アービンのレコーディングでお馴染みのリズム陣との演奏です。フロント陣には、ジミー・オーエンス(tp)とガーネット・ブラウン(tb)を迎えた、シクステット編成です。

 ブラウン作の「Bachafillen」が1曲目に収録されていますが、これをジャズ喫茶で愛聴していたという方も多いのではと思います。

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 先ずは「Bachafillen」でノックアウトされます。3管の意気がった走りっぷりが気持ちよく、印象深い耳に残るメロディを高速アンサンブルで聴かせます。トロンボーン,フリューゲルホーン,そしてテナー・サックスと続くソロは、ハード・バップで揉まれながらこの1960年代中盤の時代もしっかりと吸収した演奏になっています。特にアーヴィンのソロで、時折2管が被さるアレンジはぞくぞくくる展開です。

 この3管の魅力は、バイアード作の「Alluminium Baby」でのゆったりしたウネリでも、楽しむことが出来ます。

 その極めつけは、「Bei Mir Bist Du Sshon」でしょう。メランコリックなメロディをアーヴィンが奏でた後に、一転急速での情念の世界が展開されます。ここでの各ソロも聴きどころです。

 他にもアーヴィンのワン・ホーンでのスロー・バラッドもあり、実に聴き応えある作品になっています。ブック・シリーズのアーヴィンも魅力的ですが、本盤のアーヴィンも聴き逃せません。