キャリアは長いピアニストのジャッキー・バイアードが初リーダー作を世に出せたのは、1960年のキャンディド・レーベルからのものでした。彼が38歳の時の事で、随分遅いものと感じます。
このことはライナー・ノーツにある彼の発言、「私の音楽に混乱しないで欲しい」「聴きたければ聴けばいいし、聴きたくなければ聴かなければいい。ただしどんな風に演奏するのか?なんていうことは訊ねないで欲しい」から、何となく想像できます。
1961年にプレスティッジと契約した彼は立て続けに素敵な作品を世に発表していきました。そのプレスティッジ時代の終りの時期にあたる本作品を、彼の代表作とするお方も世に多いです。デヴィッド・アイゼンソンとエルビン・ジョーンズとの、トリオ作品です。
この時代の要素であるフリーを吸収しながら、ジャズの伝統との調和を図った1枚と言えます。3人で作りだす音は、豊かな表情を示しています。この作品をバイアードの代表作とする人が多いことに納得しながら、私にとっては「ハイ・フライ」がやはり彼の代表作との思いで、聴き終えました。