イタリアのピアニスト、アンドレア・ベネベンターノのトリオ作品を、今日は取り上げます。私が持っているCD裏面には、「1st released 2003 - reissued 2008」と書かれています。これから想像するに、2003年に発売され、僅かな枚数が日本で販売された。それが密かに評判となり、また本でも取り上げられて再発要望が高まり、2008年に再プレスされて私が手にすることになったという、多例があるパターンなのでしょう。ちなみにネットで調べましたが、この方の他の作品情報は得られませんでした。
ローマにあるDI Battista Studiosでの録音ですが、この場所はローマ中心から少し離れた住宅街のようです。
ピアニストの場合、初リーダー作がそのミュージシャンの代表作、或いは初ピアノトリオ作がその方の代表作であることは、よくあることです。そんなジャズアルバムを、「今日の1枚」では何枚も紹介してきました。そしてアンドレアさんの本作品もそんな1枚です。深く広がっていく音色に軽妙なタッチで、彼のアイデアを全て注ぎ込んだのが、本作品と言えるでしょう。特に彼のオリジナル曲である「Aniram」では、ローマ郊外の静かな住宅地での朝方にかかった霧が囁いているような演奏で、心に染み入りました。
さて本作品だけがアンドレアさんの情報なのですが、彼はその後どんな生活を送っているのでしょうか。ミュージシャンの生活が厳しいのは古今東西同じことなので、今頃は音楽を教える側にいるのでしょうか。TV曲で仕事をしているのでしょうか。何をされていても、ジャズファンに愛される作品を残したことで、彼の音楽家人生は成功だっと言えるでしょう。