今日はレスターのソロ作品を取り上げます。名盤「The Greate Pretendaer」の前に位置する本作品も、レスターを語る上で欠かせないものです。アーサー・ブライス,マイヤーズ,マラカイ・フェイヴァース,そしてフィリップ・ウィルソンとの録音です。
とにかく、ロフト・ジャズ全盛時代の空気感が漂っています。何度かこのコーナーで書きましたが、1970年代のジャズ全般をしっかりと聴いていた方は居ないと言っても過言ではありません。フュージョン全盛時代の中でジャズの細分化が進んでいき、そのいくつかの枝にも内容がぎっしりと詰まって居て、全てをフォローできた人、或いはしようと思った人は居ないからです。その枝の一つがロフト・ジャズであります。幅が広く奥が深すぎるジャズにおいて、この分野或いはこのミュージシャンならば誰が最も詳しいと名前が上がるのですが、ことロフト・ジャズに関しては、私はその名前を上げることができません。
話いきなり外れましたが、1980年代に入ってジャズを聴き始めた私は、中古盤を買い集めてロフト・ジャズを追体験していきました。そのロフト・ジャズの立役者の一人が本作でサックスを吹いているアーサー・ブライスであり、ロフト・ジャズに多大な影響を当てたのがAECなのでした。
本盤での演奏は、30代後半と脂が乗っていたレスターの最良の演奏が彼の演奏スタイルの幅広さを伴って発揮されており、共演陣の素敵な演奏も引き出しております。1970年代ジャズの代表作の一つと言える作品です。