人間は悔やむことが多いのでしょうし、私にも人並みにそんなことがございます。その中には、行けなかったコンサートもあります。その筆頭格が、今日取り上げる作品に収録されています。
トーキョー・ミュージック・ジョイというイヴェントには詳しくありませんが、この1990年には素敵なプログラムを用意しておりました。AECと、その中のレスター・ボウイのブラス・ファンタジーの共演であります。AEC,ブラス・ファンタジー,そして両者による共演という演奏順でした。
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AECプロデュースとのクレジットですが、このステージ全体はレスター・ボウイが仕切ったものでしょう。懐の深さで縦横無尽に駆け回るAECに対して、ポップ色をベースにアンサンブルの迫力と魅力を武器にしているブラス・ファンタジーの力が、素敵に発揮されています。そしてメインとなる両者の競演ですが、AECに6人のブラスを追加している場面と、ブラス・ファンタジーにAECの持つ黒人音楽の深遠さを加えた展開、やがてはボウイのリードの元で両者が融合していく流れになっています。
日本において今まで黒人音楽の素晴らしさを実感できるコンサートはいくつもあったのでしょうけれど、その中においてこの日のコンサートは筆頭格である改めて思いながら、返す返すもその場所に居られなかったことを悔やんでおります。