2008年7月27日掲載
Bill Evans                Portrait In Jazz
Riverside原盤          1959年12月録音

 26年前のジャズ聴き始めの時に、ビル・エヴァンスの名盤を数枚購入しました。その当時はコルトレーンにマレイにと、黒っぽいのがジャズの真髄と思っていたので、綺麗に流れるエヴァンスのピアノは、内容の高さを感じながらも敬遠したものでした。

 時は過ぎてヨーロッパからの新譜を積極的に買っていた時期には、エヴァンス系のピアニストの作品を数多く買い、その中から愛聴盤となった作品もありました。しかし何故だか、本家のエヴァンスを聴こうとは思わなかったのです。

 そんな時に、「今日の1枚」を掲載しているこの掲示板に、「ソロ・ピアノ作品は老後の楽しみに取っておく」という興味深い書き込みがありました。この書き込みを真似て、それ以降はビル・エヴァンスの作品を集めていくのは、僕にとっての老後の楽しみなのだと、考えるようになりました。

 そんな僕にとってのエヴァンスですが、持っている名盤数枚を取り上げていきます。最初がこの作品。エヴァンス作品では初めてのラファロとの共演になるもので、モチアンを加えたトリオ作品です。

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 三位一体と表現されることが多い演奏ですが、この作品でその持ち味が存分に輝いているのは、『come rain or come shine』,『autuwm leaves』,『blue in green』でしょう。ラファロとモチアンに耳を傾けていても、静と動の楽しさを味わえます。またエヴァンスに関しては、栗村氏も書いている通りに、急激な上昇途中にあるミュージュシャンだけに感じられる豊かな表現力が、感じ取れます。

 耽美的と評される演奏なのですが、26年前はそれが気に入らなかったのですが、今聴けば極上のものです。『when I fall in love』でのエヴァンスが気分よく聴けるなどは、考えられなかったことです。

 さてこの作品はCDで持っており、『autuwm leaves』の別テイクが収録されています。何でもアメリカでモノラルとステレオで発売された際に、この曲だけ違うテイクを収めたとのこと。今日聴いた限りですと、三人の音の行き来が魅力的なステレオ・テイクの方が気に入りました。