2008年12月20日掲載
Muhal Richard Abrams    Colors In The Thirty-Third
Black Saint原盤                 1986年12月録音

 ジャズ・ファンにとってAACMとは、分かっているようで分かっていない組織でしょう。Association for the Advancement of Creative Musicians の略であり、1965年にシカゴで設立されたNPOなのです。それは音楽活動に場を提供するばかりでなく、教育活動も行っているのです。現在形で書いたのは、何と現在でも活動を続けているからなのです。 このAACMの主要メンバーで思いつくのは、何といってもAEOCでしょう。

 僕にとってのAACMは、1970年代前派からのロフト・ジャズの流れの端緒となった組織との思いです。ロフト・ジャズと言えば、このコーナーで散々取り上げたマレイも大好きですが、エアーというトリオも大好きでした。そのエアーは、AACMの主要メンバーだったそうです。

 さて、 今日の作品。AACMの設立者であるムハール・リチャード・エイブラムスが1986年に吹き込んだ作品です。エアーのベーシストであるフレッド・ホプキンスを筆頭に、合計6人での演奏です。

20081220

 エイブラムスのピアノの奥深さ、ジョン・パーセルのバス・クラの静寂性、そしてホプキンスのベースの悲しみがぶつかりあった『Miss Richards』を聴いていると、エイブラムスの作りだす音楽に素直に感動してしまいました。この1曲で、存在価値のある1枚に仕上がってます。