ベルギー生まれのジャズ・ミュージュシャンと言えば、トゥーツ・シールマンにボビー・ジェスパー、そして極めつけはジャンゴでしょう。それほど有名ではないミュージュシャンとして、今日取り上げるルネ・トーマがおります。
ルネがギターを弾き始めた理由が面白い。10歳年上のお姉さんのイタリア人の彼氏が、よくギターを持って遊びにきていたとか。そしてそのギターを持って帰るのを忘れ、それをルネが触りだしたのがきっかけとのことです。その後、自然にジャンゴの影響を強く受けて、ギター演奏に励んでおりました。
26歳になった1956年にはパリを訪れ、さらにジャズの刺激を受けていき、決定的になったのは、ジミー・レイニーの存在を知ったことでした。レイニーを徹底的に研究し、自身のスタイルに吸収していった時期に録音されたのが、本作品です。
暖かい音色で優しい演奏をするルネさん。バズ・ガードナーのトランペットとが入り、ピアノのアンリ・ルノーも活躍している演奏も良いのですが、ピアノ・トリオをバックにルネのギターだけに焦点を当てた演奏において、彼の特徴がいかんなく発揮されています。『tis autumn』と『thomaisa』が、そんな意味で気に入りました。