徳間ジャパンから1988年に発売されたCDを持っております。解説を書いているのは、清水俊彦氏。その解説文から適当に抜粋してここに書こうと思ったのですが、その文章の読みにくいこと。難しい文章の連続。もっと読みやすい文章でなければ、CD封入の解説文としては失格だと思います。
そんなことで1975年のシェップですが、彼は3年前にインパルスへ最後の録音を終え、その後小さなレーベルへの録音が続いています。この1975年も、Black Saint や Horo へ作品を残しており、どれもが欧州でのもの。今日取上げる作品も、欧州で小さなレーベル向けに残した演奏です。Charles Greenlee(tb),Dave Burrell(p),Cameron Brown(b),Beaver Harris(d) と一緒に、モントルー・ジャズ祭でのライブです。シェップとバレルは1969年から、何度も共演している間柄。この二人を中心に聴いてみます。
トロンボーン奏者のチャールズ・グリーンリーについて、「新・世界ジャズ人名辞典」から抜粋を。1927年にデトロイトに生まれ、1940年代半ばよりバド・ジョンソンやベニー・カーター、そしてガレスピーの楽団に参加しておりました。1948年にラッキー・トンプソンの楽団に参加した翌年には、自分のバンドを結成。しかしすぐに解散し、グリーンリー自身も演奏活動から退くことに。復帰したのは1957年のユセフ・ラティーフのバンドへの参加で、その後にファーガソン楽団やJMにも参加しておりました。シェップとは1970年代に入ってから、活動を共にするようになりました。
さて本盤を聴いて、何故だか、このグリーンリーの演奏に興味が移りました。本盤はシェップの、円熟味溢れる歌心ある演奏と、フリー・ジャズの旗手を僅かに感じさせる演奏が、絶妙にブレンドされております。そしてバック陣は、シェップの盛り上げ役に徹しております。そんなことが『ラッシュ・ライフ』でのバラッド演奏に凝縮しています。そんなこの曲の中で、ベテランのグリーンリーだけが、冴えない演奏。シェップがグリーンリーを自分のグループに入れた意味が分からない。しかし、そんなグリーンリーが、ラテン風味の『クラシフィカード』で、存在感を示しました。シェップの演奏を絶妙に盛り上げるだけではなく、自身の多年の演奏暦を立派に示したソロを披露しております。こんなグリーンリーを、シェップは大事にしていたのでしょう。
何だか、本筋とはズレた聴き方をした今回でした。