2007年11月17日掲載
George Adams & James "Blood" Ulmer  
House People
Repertoire原盤    1985年6月録音

 聞きなれないこのレーベルは、1990年に、Jazz From East Berlin という企画ものを数多く発売したレーベルです。その中の1枚が、本作品であります。

 アダムスとウルマーは、ファランクスというグループを結成して、1985年から1988年までに3枚の作品を残しました。今日取上げる作品は、ファランクスの1枚目、1985年9月に吹き込まれた「got something good for you」(Moers Music)よりも3ヶ月前の録音。メンバーは1作目と同様で、ベルリンでのジャズ祭でのライブであります。こう考えると、ファランクスと正式に名乗って活動する前の、貴重な記録と言えるのでしょう。アミン・アリ(b)とカルヴィン・ウェストン(d)との演奏です。

20071117

 ミュージック・マガジンを読んでいた時期のことですから、1980年頃のこと。中村とうよう氏がウルマーのことを絶賛しておりました。中村氏のコメントかレコード会社の宣伝文句かは忘れましたが、「解放されたい方に・・・」などというコメントがあったと記憶しております。何故だか、解放と言う言葉が強く印象に残っています。

 さてこの時期のアダムスは、タイムレスやソウルノートから、プーレンとの熱演作品を立て続けに発表していた時期。そんなアダムスが、何故ウルマーとの共演を選んだのだろうか。この作品で聴けるアダムスの演奏は、ウルマーが作る方向性に乗ったもの。その中身の基本は従来のアダムスの演奏スタイル。やはりウルマーのファンク路線に、アダムスは何かを求めていたのであろう。その結果は、この作品に充分表れており、それを充分楽しめる1枚。でも、アダムスのこの後の活動に、ここでの演奏が何かをもたらしたとは思えない。アダムスの活動の1コマと捉えるべき作品と言えるのでしょう。