この年、何故だか欧州からNYに戻って3日間の録音を行ったことは、「Clubhouse」を取上げた時に書きました。その何故だか3日間の本命作品が、今日取上げるもの。ボビー・ハッチャーソン(vib),バリー・ハリス(p),ボブ・クラウンショウ(b),ビリー・ヒギンズ(d)との録音です。
さてこの盤、1曲目の『黒いオルフェ』で名高い作品です。マルセル・カミュ監督の同名映画の主題歌で、ブラジル人ギタリストのルイス・ボンファが作った曲。多くのジャズマンが取上げていますが、その白眉と言うべき演奏です。この『黒いオルフェ』の印象が強く、他の曲が思い出せない本盤。今日は、他の曲に注意して聴いてみます。
『everybody's somebody's fool』は、この作品とライオネル・ハンプトン楽団の録音が目立つ程度のもの。このバラッドを、心の鼓動を伝える演奏を披露しております。御大ゴードンの懐の深さを感じさせる演奏。無い物ねだりをするならば、ゴードンにハッチャーソンのヴァイブが主メロディで絡み合えば、最高のものになったでしょう。『黒いオルフェ』以外に注目して聴く今回でしたが、お陰で素敵な曲、素敵な演奏が記憶に残りました。