2006年8月7日掲載
The Hank Mobley Quintet
Blue Note原盤      1957年3月録音

 プレスティッジへの契約が終了したモブレイは、BNへ録音を開始し、あっという間にBNの看板テナー・サックス奏者になりました。1500番台だけでも、6作品吹き込んでおります。特筆すべきことは、この1500番台時期は、サイドで参加した作品はございません。このことから、いかにアルフレッド・ライオンから期待されていたかが、伺えます。

 BNデビュー作は1540番で1956年11月の録音、2作目は1544番で1957年1月の録音、3作目が本作で1550番であります。メンバーは、Art Farmer(tp),Horace Silver(p),Doug Watkins(b),そしてArt Blakey (d) であります。ピアノは前2作と同様にシルバー。トランペットは、前2作でのドナルド・バードから、この3作目はアート・ファーマーに変わっております。

 テナー・サックス奏者のジャズ・フィーリングを伴った迫力が表現されているジャケが、素敵な作品です。

20060807

 全6曲モブレー作ですが、耳に残る曲が無いのが残念です。演奏では、ブレーキーの技が冴えるドラムと、ワトキンスの粘りっこいベースでの、好バッキングが印象的です。これだけで、黄金時代のジャズを象徴しているような出来です。そしてフロント・ラインなのですが、ファーマーの生真面目トランペットのストレートさが、モブレーの味のある地味さを抑え込んでいる内容です。LPでいうところのB面1曲目『startin' from scratch』終盤の、この二人での4小節交換では、そんな姿が顕著に確認できます。

 そんな思いで聴き終えるのですが、聴き終えたらモブレーの飾らない田舎モノらしが耳に良い感じで残っています。こんなところが、モブレーの魅力の一つなのでしょう。