「Scenes in the City」に続く、ブランフォード・マルサリスの2作目であります。クァルテットでの演奏で、7曲収録されています。メンバーは曲ごとに変わっておりますので、ここでは参加しているピアニストだけ紹介しましょう。父上のエリス・マルサリスが1曲の参加、ケニー・カークランドが2曲、ラリー・ウィリスが3曲、そしてハンコックが1曲だけ参加しております。この当時のブランフォードは、ウイントン・マルサリスのバンドを辞めた1年が経過しておりました、またスティングのデビュー・コンサートに参加した直後でありました。
ソプラノ・サックスで静寂の世界を表現した、『ディエンダ』も良かったです。終盤のハンコック~カーター~ワッツでのスリリングな展開の『エマノン』もなかなかのもの。しかし白眉は、ソプラノ・サックスで演奏した『ロイヤル・ガーデン・ブルース』でしょう。演奏メンバーは、ラリー・ウィリス(p),ロン・カーター(b),そしてアル・フォスター(d)であります。
この曲は、サッチモの師匠キング・オリバーが、シカゴに初進出したロイヤル・ガーデンでのコンサートで披露した曲です。なんでも、そのコンサートのために作られた曲。またサッチモ自身も、オリバーの招きでこのホールで演奏した際に演奏した曲です。ニューオリンズ・ジャズの陽気な楽しさが、特徴の曲です。ブランフォードの演奏は、その陽気さを受け継いだもの。そして、1960年代のジャズの斜に構えた雰囲気を、加味したもの。ブランフォードのジャズに対する姿勢が伺える内容です。