2006年8月2日掲載
Sonny Rollins       Volume 2
Blue Note原盤     1957年4月録音

 ロリンズのブルー・ノートへ最初に行ったリーダー・セッションは、1956年12月のもので、「Volume 1」というタイトルで発売されました。その後、コンテンポラリーへリーダー作を吹き込んだり、ブラウニー亡き後のマックス・ローチのバンドで録音したりしておりました。そんな数ヶ月を経て、再びブルー・ノートへ吹き込んだリーダー作を、今日は取上げます。


 タイトルは、安易に「Volume 2」ですが、メンバーは全て入れ替えました。基本は、JJ,シルヴァー,チャンバース,そしてブレイキー。これで4曲。そしてこのクィンテットにモンクが加わって、1曲。もう1曲は、モンク,チャンバース,ブレーキーでの録音です。1日で行われたものです。

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 やはり注目は、モンクとシルバーが演奏している『ミステリオーソ』でしょう。誰が聴いてもモンクと分かる演奏でテーマが始まり、ロリンズとJJがそれに加わっていきます。モンクの世界で染まったテーマの後には、ロリンズのソロ。バックのピアノはモンク。朗々としたロリンズの演奏は影を潜めている感があり、バックのモンクの色が強い内容。続くモンクのソロは、名演であります。

 次はJJのソロですが、ここでピアノはシルバーに。モンクに比べれば弱いタッチであり、コードを弾くだけなので、手を抜いたモンクの感もあり。やがてブルース・フィーリングがでてきて、シルバーのソロに。解説を書いている油井先生は褒めているソロですが、今ひとつ調子が出ていないシルバーであります。チャンバースのソロを経て、4小節交換。この後は再びテーマを演奏し。ピアノはモンクが再登場。これぞミステリオーソという演奏を行っております。モンクばかり褒めてしまった内容です。

 さて他の曲にも目を向けましょう。ピアノはモンクだけでのクィンテットでの『リフレクションズ』も、『ミステリオーソ』と同様の良さが光る内容。シルバーが入ってのクィンテットでは、スタンダードの『ユー・ステップ・アウト・オブ・ア・ドリーム』でロリンズらしさがでており、なかなかの内容。

 やはりアルフレッド・ライオンのガチガチ・プロデュースのため、ロリンズ節はやや弱めになってしまったのかも知れません。またはシルバーとの相性が悪いのでしょうか。この二人の共演は、1954年に2度あるだけ。ファーマーのセッションと、マイルスのセッション。これほど大物なのでもっとあってもいいのですが、少ない理由は相性だったのかも。

 次にモンクとシルバーの話をしましょう。ピアニスト同士ですから共演暦などありません。モンクは1920年生まれ。注目を浴びだしたのは、1941年のミントン・ハウスのクリスチャンへの参加ですが、大きく評価されだしたのは、1947年からBNに行った6回のセッションによるものでしょう。片やシルバーは、1928年生まれ。注目を浴びたのは、1950年のゲッツとの共演から。やはり格としてはモンクの方が上だっただけに、シルバーは気後れしたのでしょうか。この4月にモンクは「ヒムセルフ」をリバーサイドに吹込み絶好調でしたが、シルバーだってこの翌月に「シルバー・スタイル」を吹込み絶好調。シルバーの気後れだったと、解釈しておきましょう。