2006年8月16日掲載
Art Davis        Reemergence
Interplay原盤    1980年1月録音

 1934年にペンシルバニア州に生まれたベース奏者アート・デイビスは、ジュリアードおよびマンハッタン学院で学んだ後、1958年からマックス・ローチ、1959年から1961年にはガレスピーのグループに加わりました。その後も地道ながら活動を行い、コルトレーンの作品にも参加しておりました。1970年代は人種差別を理由に演奏を退いていましたが、1979年にミューズから作品を発表。 今日取上げる作品は、その直後の作品なのでしょう。参加メンバーは、ピアノにヒルトン・ルイツ、ドラムにグレッグ・ハンディであります。

 ヒルトン・ルイツについても、簡単に経歴を紹介しましょう。1952年にNYに生まれ、幼い頃からクラシック,ラテン,ジャズを個人教師について学んだそうです。そして7歳の時にカーネギー・ホールでコンサートを開いたそうです。1960年代初頭にプロ入りし、ラテン・バンドで活躍。1960年代後半にスタンリー・カウエルやソニー・フォーチュンと知り合って、ジャズ界に入りました。1973年から1975年には、ローランド・カークのバンドにも入っておりました。

 ついでにドラムのグレッグ・ハンディについも書こうと思いましたが、何も情報無しでありました。

20060816

 ベーシストがリーダーのピアノ・トリオではなく、ベーシストのリーダー作品のサポートが、ドラムとピアノといった内容です。そんな意味合いをポップな曲『lovin' you』で表現した際には、そこそこ聴ける内容。デイビスのベース1本が目立つ演奏です。デイビスの意気込みが空回りしないように、ドラムとピアノが堅実にサポートしています。

 しかし、ドラムとピアノにも目立たせようとして、結果的に分けが分からなくなってしまい、20分近くも演奏してしまった『ADD』は悲しい結果でした。

 ベースもドラムも、そしてピアノも楽しく歌おうよ、というノリで演奏している『I can't give you anything but love』が、光って聴こえた作品です。