良いジャケットですね。流浪の旅に出て、様々な出会いをして、夢を見たけれど夢は叶わず。我が家が近づいた道で、考え込む男の姿。そんな想像を掻き立てるこの盤は、ビル・メイズのピアノ・トリオ作品であります。2004年のライブ盤をここで取上げた際に、いずれは買うであろうと書いた作品であります。
聴いた後でジャケを見直したら、イメージは聴く前とは違ってきました。久しぶりに幼い時を過ごした生家を訪れる思いが、ジャケに写る男性の後姿から伝わってきます。その生家には、既に母親はなく、また一緒に遊んだ友達もいない。しかし、その感触が得られることを願って、懐かしみながら立っているのでしょう。
そんな思いが、ビル・メイズの演奏から、ひしひしと感じ取れます。その演奏は、のどかなユッタリとしたものですが、要所要所で想い出の泡が弾けているもの。その弾け方が絶妙なのです。そんな意味合いが、ビル・メイズのオリジナル曲『judy』『on the road』『in her arms』から、伝わってきます。
幼い頃を、そして母の姿を懐かしむ年齢だからこそ表現出来る空間が、この作品に詰まっております。