1940年にLAに生まれたアルト・サックス奏者アーサー・ブライスは、9歳の頃からアルトを始め、13歳の頃には地元のブルース・バンドで演奏しておりました。1963年から1973年にかけてはホレス・タプスコットのグループに在籍し、LAを中心に活動しておりました。一方で、スタンリー・クロウチ&ブラック・ミュージック・インフィニティにも、1963年から1973年にかけて、加わっておりました。
1974年に、レオン・トーマス,ジュリアス・ヘンフィル,チコ・ハミルトンらとNYに進出しました。サム・リバースのロフト、スタジオ・リブビーで活動し、ロフト・ジャズ・ムーブメントの中に身を投じたのでした。そして、初リーダー作を吹き込むことになったのです。
Ahmed Abdullah(tp),Bob Stewart(tb),Abdul Wadud(cello),Steve Reid(d),Muhamad Abdullah(per)という、変則シクステットでの録音です。
西アジアの雰囲気が漂い、何か闘士の祈りを感じさせる、ブライスのアルト・サックスの響きです。バック陣は、このブライスのアルトに、少しの香料を加えるような存在です。
LPでいうところのB面で言うならば、1曲目の『lower nile』では Muhamad Abdullah のパーカッション、2曲目の『as of yet』では Bob Stewart のチューバという具合です。しかし、香料を加えないでも、ブライスは存在感たっぷりの演奏。B面最後の『my son ra』ではブライス独りの演奏であり、深い祈りを感じる演奏です。