エリック・ドルフィーは、1961年7月に、ファイヴ・スポットで歴史的名演を行いました。その後、数ヶ月に渡る欧州での演奏契約を結び、欧州各地のミュージュシャンと共演を重ねました。その中で、コペンハーゲンで行われたコンサートは、プレスティッジから3枚のアルバムで発表され、高い評価を得ました。今日取上げるのは、コペンハーゲンの数日前にスエーデンのウップサラで行われたライブの模様を収めたものです。
何でも大学のホールで行われたライブで、500人ほどの観衆は立ったまま聴いていたとか。ロニー・ヨハンソン(p),クルト・リンドグレン(b),ルネ・カールソン(d)との演奏です。
なおこの作品は、フランスのレーベルから1989年に発売されました。その際は何故か1集しか買えず、2集を買い逃しておりました。その後2001年にM&Iから国内発売された際に、1集と2集を買ったのでした。多分、同じ内容とは知らなかったと、記憶しております。
1960年に録音された『245』を、ここでは20分に渡る熱演で聴かせております。アルト・サックスでドルフィーは、ウップサラの町並みを表現しているようです。美しい景色もあれば、急な坂道あり。商店街もあれば、怪しい一角もあり。そんな光景が目に浮かびます。
また『what is this things called love』では、スピード感たっぷりにバスクラで演奏しています。この街で出会った女性に振られたかのような、振り切りたいような気持ちが、演奏に込められています。この数日後のデンマークでの演奏とは違ったドルフィーの感情を感じる演奏です。
なお音の悪さは、致し方ないもの。それを超える熱演が、ここにあります。