2005年9月20日掲載
D.D.Jackson        Peace Song
Justin Time原盤       1994年11月録音

 今やジャスティン・タイムの看板ピアニストであるジャクソンの、恐らく初リーダー作になります。マレイがジャクソンとレコーディングで共演するのも初なので、恐らくはジャスティン・タイム繋がりで声が掛かったのでしょう。或いはジャクソンの師匠であるドン・ピューレンが、マレイに頼み込んだのでしょうかね。全曲ジャクソンのオリジナルで固められている本作品は、John Geggie(b)とJean Martin(d) が参加しての、クァルテットでの録音です。

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 良いピアニストであるのは間違いないのですが、形式としてのアヴァンギャルド演奏が目に付きます。それに比べてマレイがアヴァンギャルドに吹くときは、気分の高揚から出てくる演奏なのです。やはり役者の違いと言ったところでしょう。いきなり細かな箇所を指摘しましたが、全体を通してもマレイの存在が嫌でも目立つ作品です。中でもタイトル曲。その通りの穏やかな曲ですが、マレイの演奏の気持ちの乗り方は、流石というもの。同様の曲『seasons』も良かった。因みにこの『seasons』、マレイが1998年に吹き込んだリーダー作『seasons』のとは、違う曲です。

 マレイ抜きのトリオで演奏されている数曲を聴けば、ジャクソンのその後の躍進が十二分に想像できる内容であることを付け加えておきましょう。