2005年9月1日掲載
Philippe Amizet      5 Cats At The Window
Cristal原盤            2003年12月録音

 一時帰国の際には、渋谷ジャロさんに寄るようにしております。店主との話が主なのですが、新譜CDコーナーや中古CDコーナーからいつも10枚ほど買っております。しかし、6月下旬の一時帰国の際に寄った時には、収穫は中古1枚だけ。馴染みの店に寄って、中古盤1枚では、なかなか帰り難いものです。しかも、こにような時に限って、他にお客さんが来ない。そんな状況で、ジャケット買いを思いついたのです。

 奏者ではなくジャケットで選ぶとの考えになった時に、真っ先に目に飛び込んできたのがこの盤。キャットがジャズ・マンの隠語であることは有名でしょうが、それをストレートに用いたタイトルとジャケットです。ここまできたら内容もストレートの良さがなるのではと、猫好きな僕は思ったのでした。

 Patrick Bocquel(as,cl), Gregory Deletang(ts), Philippe Amizet(p), Richard Apte(b),Philippe Combelle(ds) という、当然ながらのクィンテット編成であります。

20050901

 ハード・バップの基本線を踏襲し、現代風と言うべきか、洒落た味わいを加えた演奏です。またクィンテットとしてのまとまりも良い。管2本は熱気ガンガンの演奏とは言えないが、単に白っぽい演奏でもない。力強さと頼りなさが共存して、不思議な魅力を出しています。特にアルトは、将来人気者になるやの予感がします。リーダーのピアノは、でしゃばらずに適度に決めています。ドラムは実に達者な演奏であり、ベースは堅実なもの。

 ジャズ・マン・スタンダードからオリジナルまで幅広いタイプの曲を演奏しておりますが、特にスローな演奏が良かった。Philippe Amizetのオリジナル『jumbo』はスロー・ブルースですが、クィンテットの集中力という意味で白眉の曲。同じくPhilippe Amizetのオリジナル『yadhiya』は、ピアノ・トリオで演奏されたバラッドですが、少々かったるいピアノ。このピアニストは、ピンを当てない方がよいのかも。例えばスロー・ナンバーであるゴルソン作の『hassan's dream』でのピアノは、輝かしい刺激がある演奏でした。

 さて個々のミュージュシャンの情報を得ようとオフィシャル・ページを探したら、ドラムの方しかページを開設していなかった。昨今はアマチュアでも自分のページを持っているのにと思いながら、ドラムのページを見たら、このPhilippe Combelleさんは1939年の大ベテラン。しかし他の方々は写真でみる限り、30歳代か。ここからは想像ですが、リーダーのPhilippe Amizetはドラマーの息子ではないかな。きっと同じ道を進んだ息子が自分のバンドを組むに当たって、お父さんが相談相手になってあげているうちに、自分がドラムを担当するようになった。そう考えると、伝統と新しさには、充分頷けますね。すぐ新しい作品を吹き込んで欲しいです。