SJの輸入盤紹介コーナーにしか掲載されない、つまり国内発売されないミュージュシャンの場合、注意深く読んでなければ知らない存在で終ってしまいます。それでも注目されている新しいミュージュシャンの動きは、インターネットの情報でカバー出来るのですが、このピーター・ビーツというピアニストは見逃しておりました。やはり、日本で店頭で新譜チェック出来ないのは、悲しいことなのです。
それでも有り難いことに、僕の掲示板への書込みで、今年に入ってビーツの存在を知ることが出来たのです。そして4月下旬の一時帰国の際に慌てて買ったのが、ビーツ兄弟の1997年の作品でした。それはそれで楽しかったのですが、やはりピーター・ビーツのトリオ作を聴きたい。彼の新譜を5月下旬のネット通販店DNの新譜コーナーでみつけ、ようやくトリオ作を入手致しました。
Reginald Veal(b), Herlin Riley(d) との演奏です。
ショパンの曲はジャズで取上げられる事があり、ビーツが1曲目に用意している『prelude in E minor』も、そんな曲の一つです。この曲の雰囲気を壊さないギリギリのスピードで演奏し、ラテンアメリカの香りも微かに加え、哀しみと喜びの交差を表現しております。
ピーターの演奏は、25歳の時に吹き込みに比べて、スピード感の抑制を覚えてきた感じです。しかし、全て抑えたまま。演奏自体もこじんまりとした感じです。飛ばして欲しい時も、抑えたまま。33歳のピーターの表現力に、25歳のピーツのぶっ飛びを加えれば、素晴らしいピアノになるのにと、残念な思いでした。
実はこの盤の購入と同時に、ピーター29歳の時の吹き込み盤も購入してあります。こちらを聴くのが今から楽しみです。