ここでワールド・サキソフォン・クァルテットの歴史を、メンバー構成の変化から振り返ってみましょう。当然マレイが全作品に参加しております。
Julius Hemphill(as), Oliver Lake(as), Hamiet Bluiett(bs) という不動のメンバーで、1977年以降1988年までの間に9作品を残してきました。
その後1990年に Julius Hemphill の替わりに Arthur Blythe(as) が参加し、かつ初めてホーン以外にベースとドラムを加えて、1枚の作品を残しました。
さらに1992年にはベースとドラムの他にピアノを加えて、作品を発表したのでした。
このホーン以外の楽器を加える流れは、1993年の作品では取り入れられませんでした。この時のメンバーは、 Arthur Blythe(as) に替わり eric person(as) が参加し、そして2曲だけjames spaulding(as)も加わりました。
そんなメンバー変遷の中で1995年に吹き込まれた本作品は、再びアフリカン・ドラム奏者が3人参加したものになりました。また、 eric person(as) に替わって、john purcell(fl)が参加しております。
アフリカン・ドラムの派手なリズムにホーンアンサンブルという分かりきった展開ですが、これが気持ちいいのです。アフリカン・ドラム奏者作の3曲は、その極みが味わえる内容。そしてWSQの4人が作った曲では、別の展開。特にマレイが3回目の録音となる『dakar darkness』では、ジャングルの暗闇の静かなる怖さが伝わって演奏です。ナレーションは邪魔でしたが、ドラムが効果的に使われていました。パーセル作の曲もブルーイット作の曲も、静を表したもの。お祭の陽気さ満載のなかに静寂が垣間見える作品です。しかし、一つの作品としてのまとまりは弱いです。