2005年8月17日掲載
Music Revelation Ensemble
DIW原盤       1988年2月録音

 1980年に処女作を発表したミュージック・リベレーション・アンサンブルは、その後の活動が無く、次第に神格化されていきました。またウルマーは同じようなユニットを、テナー・サックスをアダムスに変えて1986年に結成しており、ファンの間ではミュージック・リベレーション・アンサンブルの再活動は無いものとの諦めムードでした。

 しかしこの時期に活発な活動をしていたDIWが、このグループを蘇らせたのです。ベースがジャマラディーン・タクーマに変わっておりますが、これはスケール・アップさせるためのプロデュースと言えるでしょう。この再活動作品への焦点は、この8年間のメンバーの音楽の変化。

 さらに重要なことは、このグループ、そしてデビュー作の『no wave』は、プロデューサーのブーカルト・ヘネンの存在が大きかったこと。この再活動作品では、杉山氏のプロデュースになっております。

 なおこの前月にマレイはDIWに、例のマラソン・セッションを行っております。

20050817

 タクーマの軽く素早いエレクトリック・ベースが目立ち、やたらとスマートになったウルマーのギターが印象的な1曲目の展開です。これは『body talk』という曲で、『no wave』でも取り上げていた曲だけに、この8年間の変化が実感出来ます。こんな調子で13分弱のこの曲の三分の一ほど進んでいくのですが、マレイが出てこない。『no wave』バージョンをフリーと評するならば、ファンクというべき本盤での展開に、マレイは脇役に陥ったかと心配していたところ、ようやくマレイが登場。さすがはマレイだけに、ファンク調も問題無しでした。

 それ以降の曲ではファンク調は少し影を潜めておりますが、やはり『no wave』とは生まれ変わった内容と言えます。洗練されたという表現が、この作品を良くも悪くも表した内容と言えるのではないでしょうか。マレイが自分の作品のようなサックスを吹く『blues for david』が、このバンドの可能性を示しているかのようです。ブルースを題材に、ジャズ路線でありながら、曲者の個性が発揮されている曲です。

 『no wave』とこの作品ならば、『no wave』に軍配があがります。