今年の2月に、ネット通販店DNにこの作品が掲載された時には、つい嬉しくなり発注してしまいました。なんと言ってもオリバー・レイクの新譜なのですからね。しかし手にして調べてみたら、録音も発売も2000年のもの。
まぁ、それはそれとしてオリバー・レイク。1944年生まれにアーカンサス州に生まれた彼は、セントルイスで育ちながらパーカッションを演奏しておりました。しかし何故だか1960年にアルト・サックスに転向し、1968年にはシカゴのAACMに範を取ったBAGを発足させ、セントルイスの音楽シーンを活性化させました。
その後1972年にはパリに渡り活動を続け、1974年にはNYに戻り、ロフト・ジャズの中心的人物になっていったのです。1970年代末からは多彩な活動を繰り広げ、その中には我がマレイと組んでいるWSQもあげられます。
そして21世紀に入って世に放ったこの作品は、ジュリ・アレン(p)が参加し、またヴァイブが入っているクィンテット編成での録音です。
親しみ易いメロディの曲をレイクは用意しており、望郷の思いを抱かされるような音色でそのテーマ・メロディを奏でています。その後は往年のアグレッシブなソロを聴かせますが、基本的には優しいレイクであります。なかなかの好演なのですが、サイドに目を向けると、ジュリ・アレンが寂しい限りの演奏に終始しています。彼女の調子が良い時に録音されていたならば、注目される作品になったことでしょう。