2005年6月18日掲載
John Swana and The Philadelphians
Philly Gumbo vol. 2
Criss Cross原盤       2004年4月録音

 ジョン・スワナの詳しい経歴は分かりませんが、クリス・クロスにはサイド参加を含めると過去に18回の吹き込みがあるトランペッターです。このレーベルへの最初の吹き込みは1990年のリーダー作でした。スワナのリーダー作は初買いになるのですが、サイド参加作品では、ジミー・グリーンの作品をここで取り上げております。

 さて、このスワナ作品への参加ミュージュシャンは、Bootsie Barnes(ts), Larry McKenna(ts), Sid Simmons(p), Mike Boone(b), Byron Landham(d) という方々で、みなさんフィラデルフィアに関係のあるメンバーだとか。ジャケを見ると、皆さんベテランのようであります。ベテランに抱えられて横たわっているのがスワナになるのですが、やたら軽い雰囲気の演奏を想像させるジャケットですね。

 本来なら購入対象から外すのですが、ネット通販DNに注文している際に、勢いでクリックしてしまい購入した次第です。

20050618

 スワナの演奏は、強い自己主張が無いものであるが、温かみのある演奏が魅力的と言えようか。ドナルド・バードを水で割った感じのトランペットである。

 この作品ではリーダーのスワナよりも、テナー・サックス2本が主役のようだった。ロリンズ風のバーンズに、ズート風のマッケンナ。この2管が、作品全体の色合いに影響を及ぼしている。その色合いとは、純正ハード・バップ。

 スワナのペットはテナー2本の繋ぎ役の面が多かったが、スワナ作の曲はこの作品の主役となっている。全10曲中6曲がスワナ作であり、気軽なハード・バップを演出している。特にブルース・ナンバー『quasimodo's uncle』が良かった。

 「quasimodo」とは何ぞやと調べてみたら、この名前を付けたジャズ・バンドがあった。パーカー作の曲にも、この名前を付けたのがある。しかし僕が目を付けたのが、ベルリンにあるズバリこの名前を付けたジャズ・クラブである。ここでよく演奏をしており、この曲を作ったのではないだろうか。自分なりに発見したぞと思って最後にネット辞書で調べたら、これは人名なのだそうだ。「古代ギリシアの風土と精神とを現代に承け継ぐシチリア島に生まれ育った、20世紀イタリア詩の最高峰、ノーベル賞受賞詩人」なのだそうだ。つまり、ジャズ・バンドもパーカーもベルリンのジャズ・クラブも、このお方から名前を頂いたのだ。そしてスワナも同じだったのだろう。

 さてクリスクロスの作品はこのコーナーで36枚取り上げてます。このレーベル全作品中の13.9%になります。またスワナが加わったものの掲載率は10.5%です。スワナ作品購入率は、全体平均より下がったものになります。今回この作品を聴いて、この率は今後下がりもしなければ上がりもしないだろうなと、感じた次第です。