2005年6月11日掲載
Gaspare Di Lieto     Waltz For My Son
YVP原盤                   2003年8月録音

 ビリー・ハーパーは、1960年代から活躍しているテナー・サックス奏者です。ハーパーの印象と言えば、マイナー・レーベルの名門ブラック・セイントの初作品がハーパーのものだったということ。1975年から1980年頃までのハーパーの諸作品が、多くのジャズ・ファンの心に残っていることでしょう。最近もコンスタントに作品を発表しているようですが、余り語られることがありませんね。

 ファブリツィオ・ボッソは、数年前に世に登場し、あっという間に人気者になったトランペット奏者です。吹き込んでいる作品の多さからも、彼の今現在の人気度が判ります。

 このベテランと若手の2管が加わっている本作品の主役は、ピアニストのガスパーレ・デイ・リエトであります。このガスパーレの情報は、ネットから得られませんでした。内ジャケの薄い髪で写るガスパーレさんを見ると、40歳代半ばの感じです。この3人にベースとドラムが加わった本作品は、当初購入対象ではありませんでした。ジャケがペケであることが、その理由。親ばか作品のような気がしたからです。しかし評判の良さから、そして好対照な2管から、購入を決意した次第です。

20050611

 リーダーのガスパーレの役割は、作曲と編曲、さらにはプロデュースといところ。演奏面では、2管が主役です。演奏の内容は、ロフト・ジャズを軟らかくして、欧州テイストを加えた感じ。何だか判らない表現ですが、独自の色合いを持つジャズ作品に仕上がっています。構成の面では、タイトル曲における希望に満ちた感じが良かった。演奏の面では、ハーパーとボッソが同じような音色に昇華していき、激しい吹き合いを展開する、メランコリック味の「sebsi」が良いデキ。

 他にも熱演が並んでおり、聴き応えのあるジャズ作品になっている。