2005年4月17日掲載
Manhattan Transfer      Vocalese
Atlantic原盤              1984年録音

 SJのジャズ・ディスク大賞に大きな関心を寄せている訳ではないが、購入盤の参考にすることがあります。2004年度のボーカル部門最優秀録音賞を受賞したシェリル・ベンティーンの作品は、その受賞を知ってその存在を知り、購入に気持ちが動きかけた作品です。ジャケットに映る、センスの良い大人の女性に惹かれたからです。

 さて、ジャズ・ディスク大賞で何らかの賞を受けた発売元は、翌月以降のSJに大きな広告を出す仕組みになっているようです。持ちつ持たれつの関係は、どの世界にもあるのでしょう。シェリル・ベンティーンの作品も。3月号にカラー見開き2ページで、広告が出されました。

 左ページにはジャケット、右ページには録音時の写真が掲載されていました。その右ページによって、僕のこの作品の購入意思が、覆されたのでした。そこに存在しているシェリル・ベンティーンからは、おばさんしか感じられなかったからです。マンハッタン・トランスファーが世に出たのが1975年なので、致し方ないことなのでしょう。

 今日取上げる作品は、マンハッタン・トランスファー9枚目のもので、初めて全編ジャズに取り組んだものです。その内容は、豪華な方々をバックに従えて、ヴォーカリーズに取り組んだものです。1985年の発売であり、定価が3300円。再発モノも新録モノも、同じ値段でCD発売されていた時期でした。

20050417

 ヴォーカリーズについては、かつてこのコーナーでエディ・ジェファーソンやアニー・ロスを取上げた際に、触れた記憶があります。僕にとってのヴォーカリーズは、このマントラ盤が初体験だったのです。その上で、マントラが参考にした大先輩達を、後で聴いた格好になります。

 さてこの盤では、ヴォーカリーズによっての派手な仕掛けが活きるような、テンポのよい作品が揃っております。「エアジン」がその中でのお気に入りです。しかしその手の作品が多すぎる感じがします。例えば「エアジン」に続いて収録されているサド・ジョーンズ作の「トゥー・ユー」のように、バラッドをサラッとヴォーカリーズで聴かせる場面がもっとあればと、感じました。

 久し振りに聴きましたが、耳タコの作品。その耳タコ振りが、贅沢な感じ方になったのかもしれません。