2005年3月17日掲載
Ann-Margret     The Vivacious One
RCA原盤           1962年4月録音

 中学2年の時だと記憶しておりますが、銀座に映画を観に行きました。思いを寄せていた女の子との初デートと言いたいところですが、男と一緒でした。ロック少年同士で話が合って、「トミー」と「バングラデッシュ」の2本立てを観に行ったのです。この2本は印象深いものとなって、「トミー」によってザ・フーの作品を買うようになり、「バングラデッシュ」によって数多くのミュージュシャンを好きになりました。ハリソンやクラプトンはその前から好きでしたが、ディラン,リオン・ラッセル,ビリー・プレストンなどが贔屓のミュージュシャンに加わったのでした。さらには、ラヴィ・シャンカールを知り、インド音楽にも興味を持ったものでした。

 さて、そろそろ今日の主役のアン・マーグレットの話をしましょう。マーグレットは、バンドを組んで活動していた20歳の時にスカウトされ、1961年に「ポケット一杯の幸福」で映画デビューいたしました。その後数多くの映画に出演し、大スターとなったのですが、プレスリーの作品への出演が有名なところらしいですね。

 主活動は映画だったのですが、歌手としてもRCAから作品を何枚か発表したのでした。この作品は3枚目にあたるものです。

 さて、最初に何故中学時代の話をしたかというと、マーグレットは1975年製作映画「トミー」に出演していたらしいのです。しかし、僕の記憶には、一切無いのです。まぁ、余談ですね。

20050317

 健康的な色気が、魅力的なマーグレットの歌声。全12曲収録されてますが、その中に『make love to me』というのがある。ジョー・スタッフォードが1954年にヒットさせた曲らしいが、マーグレットはアップ・テンポのこの曲を、元気一杯に飛ばして歌ってます。しかし、このタイトルは凄い。『私にメイク・ラヴして』ときたもんだ。念の為に辞書を引いたら、この熟語は現在では「あの意味」らしいが、もともとは「求愛する」という意味があったそうです。ここでは間違いなく「求愛する」という意味でしょう 。

 話がそれましたが、アップ・テンポ以外にも、バラッドも素敵に歌っています。大人の恋のような深い切なさではないが、大人になる一歩手前の女性を等身大で表現しています。『テル・ミー、テル・ミー』などがその良い例です。他にもホレス・シルバーの『セニョール・ブルース』や、コール・ポーターの『ビギン・ザ・ビギン』などを歌っている作品です。