2005年3月14日掲載
Eve Boswell         The War Years
Parlophone原盤    1957年3月録音

 イヴ・ボスウェルは1950年代を飾る、イギリスの大スターなのだそうです。解説を書いている坂田一生氏がその経歴を示していますが、かなり波瀾に富んだ人生のようです。掻い摘んで抜粋します。

 1924年にハンガリーに生まれ彼女の両親は芸人であり、ヨーロッパ各地を巡業して回っていました。やがて第二次世界大戦の戦火を避けて、南アフリカに移り、現地のサーカス団に所属しました。そのサーカス団のオナーの義理の息子と結婚した彼女は、独立して歌手となり「南アフリカの歌の女王」と呼ばれるまでになったのです。やがてこの評判が広まり、1949年にイギリスに移り活動するようになったのです。

 そんな彼女のことは一切知らなかった僕ですが、戦争の別れをクサイほど作り込んだジャケが気に入り、購入した次第です。タイトル通りに、第二次世界大戦中にヒットした曲を取り上げております。

20050314

 暖かく響く声が印象的で、1曲目の『I'll Walk Alone』を聴いていると、彼女がイギリスに受け入れられていたことが分かります。家庭でも、安心して聴ける歌手との印象。しかし、続く『It's been a long, long time』では、ほど良い色気が加わっている。家庭に受け入れながら男心もくすぐる歌手ですな。この二つが微妙にバランスしている、素敵な歌手です。バックのオーケストラはレグ・オーエンによるものですが、派手にならずに飾っている演奏で、彼女を盛り上げております。