2005年11月13日掲載
Vicki Benet       A Paris
Decca原盤       1960年3月録音

 ヴィッキ・ベネットさんはパリ生まれのお方で、お父さんは著名なコンサート・ピアニスト、お母さんはヨーロッパでもトップのオペラ・スターだったそうです。お母さんのツアーに同行してアメリカに渡り、英語を覚えたそうです。歌手としては、カンヌのカジノのステージを皮切りに、パリのオリンピア劇場などで歌っていたそうです。

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 1998年11月にこのサイトを開いた時のジャズ・コーナーの目的は、コルトレーン。そしてそこから、ドルフィー,モンク,マイルスへ展開させていくものでした。自分の中で高い完成度を設けていたので、結局未だに手付かず状態です。そんな中で1998年暮れから、気軽な気分でジャズ聴きの感想を簡単に書いていこうと始めたのが、「今日の1枚」でした。こちらは順調に進んできております。

 そんな中で今回取上げたヴィッキさんの作品は、パリをテーマにしてのシャンソン集と言えるもの。その中に「パリの空の下」が入っております。これは「パリの空の下セーヌは流れる」という1951年の映画の主題歌であります。ヴィッキさんは気分たっぷりに歌っております。

 そしてこの曲を聴いて思い出すのが、コルトレーン。プレスティッジ時代の1957年に、コルトレーンは、この曲を吹き込んでおります。共演は当時17歳のチューバ奏者レイ・ドレイパー。木訥と吹くドレイパーのチューバ演奏が、パリの楽しさを伝えているようで、実に好きな演奏でした。

 今まではコルトレーン&ドレイパーの演奏しか思い浮かばなかった「パリの空の下」ですが、今日からはヴィッキさんの温かく身振り手振りまで浮かんでくるかのような歌が、僕の中でこの曲に加わりました。